包丁人味平包丁試し(1)

味平は、板前塩見松造のひとり息子。
松造は築地の一流料亭「かつらぎ」の花板である。
味平は高校入試に合格したその日、コックになるため、親の反対を押し切って家を飛び出した。
味平は、洋食屋「ブルドッグ」の北村チーフのもとで見習いとして働き始める。
そんなある日、北村チーフの代理として仲代圭介が調理場に現われたことで、思いもよらぬ事件が起こってしまう!キッチン「ブルドッグ」に、北村チーフの留守をあずかる代理チーフ、仲代が入ってきた。
彼は味平に包丁試しをけしかける。
氷祭り、火祭り、刃物祭りの三つの技を習得するのに与えられた期間は3年間。
その勝負に負けた者は包丁人の世界で生きていくことはできない。
さらに「ブルドッグ」ののっとりをはかる仲代は、銀座のレストラン「ミンクス」から一の瀬を引き抜いてきた!キッチン「ブルドッグ」ののっとりをはかる仲代は、銀座の高級レストラン「ミンクス」から、一の瀬を引き抜いてきた。
味平はふたりの策略にかかり、一の瀬にキャベツの早切り勝負を挑むことになった。
さらに味平は、3年間の猶予を与えられたにもかかわらず包丁試しの決着を申し込んでしまうのだった。
仲代の得意技、水面浮島ぎりを習得した味平だったが、すべての技を習得するまでに残された期間はわずか3日間…。
上野不忍池で行われる味平と仲代の「包丁試し」対決の噂を聞きつけて、日本全国の包丁人がその対決を見にぞくぞくと集まってきた。
まず氷祭り。
10分間のうちに白鳥を彫り上げるのだ。
制限時間内に彫り上げた両者の作品は、甲乙つけがく判定は引き分け。
審判北村の最終判定を待つのみとなった。
が、しかし彼は、その判定を2時間後とすると発表した。
続いて2番勝負、火祭り。
アイスクリームの壺あげ(フライ)だ。
揚げた数では味平が負けたが、その勝負にインチキがあったことが発覚する!味平と仲代の「包丁試し」対決は一勝一敗のあと、最後の刃物祭りを残すのみとなった。
仲代の得意技、’水面浮島十文字ぎり’に挑む味平。
そしてついに「包丁試し」3番勝負の勝敗が決まった。
しかし、こんな技は曲芸にすぎないという包丁貴族・団英彦の提案で、潮(うしお)勝負をすることに。
塩だけで吸物に味をつけるこの勝負は、料理人の長年の経験と勘を必要とするため、あきらかに味平にとって不利であった…。
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